Flowする人々にFlowerを。いつまでもサーフィンを楽しめる体と心を作り、人生に花を咲かせるジム【Flow/er Coast Gym】by Ayumi

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 長い髪をなびかせ、優雅にロングボードを駆るAyumiさん。彼女のサーフィンは自然体のなかにもどこか華やいだ空気をまとっていて、Nachosをはじめ多くのウォーターフォトグラファーたちの被写体になっているので、インスタグラムなどですでにご存知の方も多いかもしれない。そんな麗しきレディスライダーが『Flow/er』というブランドを立ち上げると同時に、サーファーの体と心に寄り添う『Flow/er Coast Gym』をオープンしたという。波を求め、旅するように暮らし、暮らすように旅している彼女のライフ&スタイルと、『Flow/er』の活動を通して彼女が伝えたいことを聞いた。




Wave/y(以下、W):宮崎の海の中でお見かけしたとき、海に愛されているかのようにスムーズに何本もの波をキャッチして、そのすべてを綺麗に乗っていく女性サーファーがいるなぁと思っていたら、後からAyumiさんだったと知りました。サーフィンはいつから、もうどのくらいやっているのですか?

Ayumi(以下、A):海のない滋賀県で生まれ育ったので、昔はずっと山で遊んでいたんです。スノーボードが大好きで。そこに一緒に行っていた友達がサーフィンもやっていて、連れて行ってもらったのがサーフィンとの出逢い。最初の日は全然乗れなかったんだけど、それまで海に入ることなんてなかったから体が水に包まれる感覚がすごい爽快だったのを覚えています。波に巻かれて押し戻されるとか、上手くいかないことすら楽しくて「もう1回やりたい!」って。それが28歳のとき。以来すっかりサーフィンにハマって、休みのたびに海に行くようになり、旅にも出るようになり、13年が経ちます。

W:ずっとロングボードですか?

A:最初の10年はずっとショートボードをやっていて、今はロングボードがメインですね。海に行くときは一応ツインやミッドレングスも持って行って、その日のコンディションに合わせて板を選んで乗っているんですけど、でもやっぱりここ3年くらいはロングがいちばん楽しいかな。

W:いつも旅をしている印象があるのですが、今、拠点はどちらに? 

A:「いつもどこにいるの?」って本当によく聞かれるのですが、ヨガやセラピーは関西で行うことが多いので、意外と関西にいたりしますよ。好きなサーフスポットはオーストラリア、メキシコ、バリ島。ここ2年は日本を周ることが増え、宮崎や沖縄によく行っています。月に一度は遠方へ旅に出ていますね。今年の夏には初めて北海道へサーフトリップに行く予定。日本各地にお邪魔すると思いますので、見かけたらぜひ声をかけていただけると嬉しいです。

W:お仕事は何をされているんですか?

A:私の仕事は、"人の体と心を健全にする"お手伝い。具体的には、26歳で出合ったA-Yoga Mind and Body Movement Therapyと、2016年に出合ったSource Point® Therapyというエネルギーワークをミックスして、グループでのレッスンや手を使って筋肉や筋膜にアプローチする個人セッションを行っています。A-Yogaはアスリートにも対応できるし、一方でリハビリなど自分で体を動かせない方や赤ちゃんにも対応できるメソッド。ソースポイントセラピーは体が健全な状態に自分自身の力で戻れるよう、体の周りや体の中にあるポイントに働きかけるエネルギーワークです。施術者がエネルギーを送るのではなく、受けているご本人のポイントが働き出すことでエネルギーが満たされ、肉体・感情・精神も含めて体全体が健全な状態に戻っていくため、心身の変化を感じやすいです。あとはヨガのインストラクター向けのセミナーや養成コーチなども行っています。




W:今年に入ってサーファーのためのジム『Flow/er Coast Gym』をオープンされたのも、今までご自身が学んできたヨガとエネルギーワーク、サーフィンから得られた経験や知識があっての流れだったんですね。

A:そうですね。きっかけは海で50代の方とお話しをしたとき、その方が言うには「いいパフォーマンスを長く続けるための体づくりや体の正しい動かし方を、若い時にもっと学んでおいたらよかった。サーフィンはずっとしてきたけど、今になって首や肩、腰が痛くなったときにどう対応していいかわからない」と。それを聞いたときに、私のこれまでの経験や知識がお役に立てるかもしれないと思ったんです。自分自身、40代になって体の動きをもっと丁寧に見ていく必要性を感じ始めていたタイミングでもあり、それなら"サーフィンのための体づくり"に特化したジムを作っちゃおう、って。

W:ジムには具体的にどんな内容・コンテンツが用意されているのでしょう?

A:このジムで目指すことは3つ。①なりたいサーフィンスタイルに近づく。②いつまでも波乗りを続けられる身体作り。③健全な日々へ繋がる、安定した身体の動かし方を学ぶ。具体的には、A-Yogaのメソッドを用いて骨のポジションを知り、関節の正しい動かし方を学ぶことで得られる筋肉の必要な出力と、反対に使いすぎている箇所をオフにするようなヨガのレッスンを行います。ここで身体の動かし方を習得し、体の可動域を高めたら、次はきちんとそれをパドリングやボードコントロールといったサーフィンのための動作に繋げていく。実際にフィンを外したサーフボードを使って、テイクオフのフォームを確認したり、ウォーキング時の足の運び方、ボードへの荷重のかけ方などを陸でのトレーニングとして行っていきます。

あとは波のサイズが大きいときの気持ちの整え方、波の波長と上手く合わないときにどうやってマインドセットするかなどのメディテーションやメンタルセラピーも。しばらくはオンラインでのレッスン&トレーニングがメインになるかと思いますが、対面でのリトリートが開催できるようになったら、陸ではヨガとサーフボードを使った陸トレ、その後、一緒に海に入って実践するところまでやりたいですね。

W:レッスンは男女問わず受けられますか?

A:『Flow/er Coast Gym』自体は女性も男性もOKで、年齢も問いませんが、私が女性だからできること、女性にこそ伝えたいこともある。たとえば女性は生理のときにいちばん体(靭帯)が緩むんです。そのときってじつは体を整えるのにはいちばんいい時期なんですよ。そういうことを知ると、しんどいと思っていた生理期間中も上手く楽しく体と向き合えてメンテナンスができたりする。だから女性サーファーに特化したコンテンツもこれからたくさん登場すると思います。

W:活動の母体となっている『Flow/er(フロウワー)』についても教えていただけますか?

A:コンセプトは「Flower for Flow/er(フロウする人々に花を)」。昨年末に公私ともにパートナーであり、サーファーでアーティストのIKIとの間で"花"がきっかけとなる出来事があって、「花って人の気持ちや生活を豊かにするよね。咲いているときも綺麗だけど、変化していく様も美しい。そんな美しい花と美しい人達を繋げるようなこと始めよう」と立ち上げたトータル・コミュニティー・ブランドです。

サーフィンを楽しみ、波に、人生に、"Flow"し続けている人たちって
お互いを思いやり、愛のある方々ばかり。環境への適応が早かったり、今という時間を楽しむことが得意な人も多くて、思えばそういう人たちはこれまで旅してきた世界各地にもたくさんいました。だから『Flow/er』には「独りで自生するのではなく、世界中で、仲間と一緒に花開く人生を送れるように」という願いも込めていて、人と人はもちろん、人と土地、コミュニティー同士が繋がり、出逢いと幸せが広がるような場と機会もこれから創っていきたいと思っています。


W:アート、アパレル、ジムなど多岐にわたるコンテンツを同時進行されていますよね。そのどれもがお洒落でサーフライクで。

A:ありがとうございます。今はIKIのアート、そして私はサーフィンを開花させるジムをオープン。他にもNachosをはじめとするウォーターフォトグラファー達の作品にIKIが花をコラージュするなどの作品を作ったり、イラストを落とし込んだアパレルの制作も進んでいます。今後は作品の展開とともに、サーフトリップへ出かけ、各地のFlow/erたちとの輪を繋げる活動も行っていく予定。ぜひ皆さん一緒に旅へ出かけましょう!

W:このプロジェクトの行き着くところ、Ayumiさんのこれからの夢は?

A:今、お話ししたことを全部実現させていきたいのも夢ですけど、いちばんはやっぱり皆さんの中に必ずある自己治癒力への気づき、自分で自分の心と体をメンテナンスできることを、できるだけたくさんの人に知ってほしいですね。痛みや不調があることほど憂鬱なことってなくて、余裕もなくなり、見える世界や食べ物の味すら変わってしまう。だから、サーフィンをするにも、人を愛するにも、まずは健康じゃないと!

W:健康な人が増えて、生きる喜びや幸せを素直に感じられる体と心を持つ人が増えたら、地球上にも幸せの波動がどんどん広がっていきますもんね。

A:まさにその通りです。サーフィンだって体が調子良く動けばもっと楽しいし、いくつになっても上手くなれるはず。男性にはいらっしゃいますが、60代以上でサーフィンしている女性ってまだなかなか見かけることがないから、これから日本の女性サーファーもみんなそういう風になっていったらカッコイイですよね。私もサーフィンは大好きでずっとやり続けたいと思ってるからこそ、いつまでも健康で、サーフィンをより楽しくより長く続けていくための体と心のケアを『Flow/er Coast Gym』から発信していきたいです。



これまで外に向きがちだった意識が内に向くようになったこの2年、本当に大切にすべきはまず自分だということに気づき、生活環境を見直したり、社会の中で抑制されてきた思考や感情を解き放つ人がぐっと増えたように思う。自分の体と心と向き合うことは、自分を大切にすること。「サーフィンをするにも、人を愛するにも、まずは健康じゃないと!」。Ayumiさんの言葉と『Flow/er Coast Gym』もまた、その道筋をサーファーらしくシンプルに照らしてくれる。なりたい体と心、思い描く未来は自分で作ろう。健やかで、自由と幸せに満ちた新しい世界は、私たちが作ろう。

 


Ayumi Yamazaki
滋賀県生まれ、大阪在住。高校時代よりスノーボードに夢中になり、26歳でヨガ(A-Yoga Mind and Body Movement Therapy)、28歳でサーフィンに出逢い、36歳でソースポイントセラピーを習得。現在は旅をしながら暮らし、暮らすように旅をしながら、ヨガとエネルギーワークをミックスした施術で人の体と心を健全にするボディワーカーとして活動している。今年よりアート、アパレル、ボディワークなどを統括したコミュニティ・ブランド『Flow/er』をスタート。自身主宰の『Flow/er Coast Gym』もオープンし、サーファーのための体づくりをオンライン等でサポートしている。Instagram:@ayumi_sunn, @flow_er.com_